MEJE PROCESS · MEJE キャラクター創作ワークフロー (14 章)
シード決定――30枚のカードと略式シードの分岐
第4章 シード決定――30枚のカードと略式シードの分岐
前三章で、人物を人間として扱う姿勢、プロデューサーとAIの仕事仲間が導く姿勢、12段階と階層、事前準備5モジュールを整えました。地図を手にした状態です。
ここから実作業です。第一段階はシード決定、一人の出発点を一行へ圧縮します。一行が決まれば後続11段階がそこへ整列し、一行が揺れればすべて揺れます。
本章では、外部キーワードを整理する道と30枚から五枚を引く道、素早く入る三つの略式、そして一行へ圧縮する技法を扱います。
シードは閉じた命令ではありません
シードは人物のすべてを決める命令でなく、出発点です。後続11段階で、第4段階のひねりにより反転し、第7段階の欠点で補強され、途中で捨てられる部分もあります。
二種類に分けます。Hardシードは絶対に変えない1~3個の核心語、Softシードは変更可能な補助語です。
Hardは「三十年目の法医病理医」という職業、「朝鮮後期」という時代、「双子の物語」という核心関係のように、コンセプトへ直結し、後の段階で変えません。
Softは開始時の印象です。「左肩の火傷」が第5段階で「左手人差し指の指紋消失」になっても、作品への影響は小さく、よく交換されます。
固定する核心と変えられる枝を分けると、後の判断が速くなります。ゲーム開発のdesign pillar、脚本のpremiseも、交渉不能な中心を明確にして残りを自由に試す発想です。
外部シード――すでに持っているキーワード
第一の道は、プロデューサーが人物への印象をすでに持っている場合に、それを様式へ整理する外部シードです。
『マッドメン』のドン・ドレイパーは「1960年代ニューヨーク広告会社の成功した重役」という条件だけで、時代の欲望と偽善、本当の自分を隠す人が浮かびます。外部シードは内面を埋める前に舞台を描きます。
様式:
# Seed(外部)
## 与えられたキーワード
- ジャンル:
- 世界観:
- 職業・役割:
- モチーフ:
- 関係シード:
- 事件シード:
- 時代:
## トーン・情調
## 制約
## 企画意図(一行)
## 人物階層
- 主人公 / 主要 / 脇役 / 端役
空欄を埋めるのはプロデューサーの直接作業です。頭の中の印象を整理するため、AIが代わりに埋めるものではありません。詰まる欄は空けても、圧縮に必要な語だけが残ります。
ただし企画意図「この人物で何を言いたいか」と階層は空けません。前者は作品内の方向、後者は後続11段階の深さを決めます。
30種のシードカード――無作為な問答から始める
第二は、印象が弱いとき発想を刺激する30種のカードです。
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の「老人の体で生まれ、若返る人」という内部の種は、外見と実年齢のずれだけで来歴と葛藤を生みます。
30枚は五分類、各六枚です。A(職業・環境)、B(決定的事件)、C(核心関係)、D(感覚・イメージ)、E(矛盾・二重性)。A03「職業上は正確だが私生活では不器用」、B05「幼少期に失ったものが大人になって戻る」、E01「弱さを装い強さを隠す」などです。
無作為カードには先例があります。Brian EnoとPeter Schmidtは1975年、行き詰まり時に思考をひねる『Oblique Strategies』を作りました。TRPGの無作為表やタロットも同じ役割です。
手順:
- 30枚から五枚、標準では各分類から一枚ずつ無作為に引く。
- 各キーワードへ、検閲せず最初に浮かぶ一、二文を答える。
- 五回答を一人へ束ねられるか試す。
- 束ねられない一、二回答を捨てるかカードを替える。
- 束ねた回答を一行に圧縮する。
無作為シャッフルは道具が行います。キーワードごとの一次回答はAI活用部分で、各カードにつき候補を正確に五つ出します。最も惹かれるものを採る、または候補から別案を作るのはプロデューサーです。
束ねる・捨てる判断には作品のコンセプトが必要です。AIの草案は受けられても採否はプロデューサーが決めます。
一行圧縮もプロデューサーの直接作業です。後続11段階の合格線になるからです。
例――五枚から一行へ
後半でも使う例をコードネームMとします。
抽選結果:
A03:「職業上は正確だが私生活では不器用」
B05:「幼少期に一度失ったものが大人になって戻る」
C02:「血縁ではない家族」
D04:「特定の匂いで吐き気がする」
E01:「弱さを装い強さを隠す」
各カードに五候補を受け、一つずつ採ったとします。
A03 → 三十年目の法医病理医。遺体の前では冷静だが、スーパーのセルフレジでいつも迷う。
B05 → 七歳で失くした母の結婚指輪。三十年後、解剖中に遺体の手から見つける。
C02 → 同じ解剖部門の同僚。三十年ともに働いても互いの下の名前を知らない。
D04 → ベビーパウダーの匂い。原因不明。
E01 → 弱いという評判を意図して維持する。強さが露見すれば死のそばに残れないと思うから。
回答の間に因果を与えます。
Mは三十年目の法医病理医。七歳で失くした母の結婚指輪を遺体の手から見つける。三十年の同僚と互いの下の名前を知らない。ベビーパウダーで吐く。強さを隠すのは、弱者だけが死のそばにいられるという私的信念からだ。
自然に束ねられ、捨てる回答はありません。最後に圧縮します。
M。三十年目の法医病理医。母の失われた指輪を遺体から見つけ、自ら隠してきた強さと向き合う。
これがMのシードで、後続11段階が整列します。
例――外部シードだけで始める
カードを使わないコードネームJの例です。
# Seed(外部):J
## 与えられたキーワード
- ジャンル:自伝的小説・文学的散文
- 世界観:現代韓国、出版・メディア業界
- 職業・役割:作家、映画演出と国文学の同時専攻
- モチーフ:強迫的完璧主義、作家を詐称しているという自己不信
- 関係シード:執筆仲間、締切の循環を断てない友人
- 事件シード:スランプ、克服、ベストセラー失敗と回復
- 時代:同時代
## トーン・情調
- 思索と実務が混ざる静かな一人称。怒りより愛情。
## 制約
- 職業変更禁止。作家の意識の流れが核心。
## 企画意図(一行)
- 成果物の価値でなく、書く行為自体に意味を見いだす作家の一時期。
## 人物階層
- 主人公
圧縮:
J。ベストセラーを望みながら、書く行為そのものの楽しさを失わないよう格闘する作家。
外部語が十分なのでカード刺激は不要です。印象が弱ければカード、強ければ外部シードを使います。
三つの略式シード――素早い進入
フルビルドは8~15時間ですが、全員に必要ではありません。
1カード・シード(5分)。 付録Aから一枚を引き、一、二文で答え、一行へ圧縮。端役や発想刺激用。
3キーワード・シード(15分)。 職業・モチーフ・関係を直接定め、一、二文に統合し、鏡の一部(MBTI主機能一文字+白黒スライダー三軸)を追加。脇役・主要人物の初稿向け。
ランダム1ライン・シード(発想刺激)。 五枚を引くが回答せず、五キーワードを一文へ連結し、即興で浮かぶ人物をメモします。「職業上は正確で私生活では不器用、幼少期の失せ物が戻り、敵だと思ったものが自分で、雨の日だけ聞こえる音を聞き、弱さを装い強さを隠す人」などです。
答えを決めず偶然の組み合わせを材料にする方法は、André Bretonらシュルレアリストの自動記述とつながります。意識の検閲前の最初の印象をつかむ原理です。
三つともAIが一次回答・統合一行・即興メモを速く作り、プロデューサーが検収・採用します。
時間別には、5分で端役用一行、15分で脇役・主要用のシード+骨格、30分で7段階進入ガイドによる統合シート初稿、2~3時間の短縮経路で圧縮シート、8~15時間で主人公用フルシート+日常断面です。
30人なら、主人公二人に各8時間、主要五人に各4時間、脇役十人に各1時間、端役十三人に各30分など、先に予算を配ります。
略式からフルビルドへの昇格
端役が後半で核心葛藤の軸になるなど、進行中に階層が上がることがあります。
Camus『異邦人』のムルソーは「感情を見せない男」という小さな種から始まり、母の葬儀で泣かない無関心が裁判で死刑へ送る根拠になります。Melville『書記バートルビー』も「そうしない方を選びます」という一言の拒否が人物と作品全体の構造になります。
クローズアップ・尹胎鎬『ミセン』のチャン・グレ 「プロ棋士になれなかった青年が総合商社の契約インターンになる」という一行にほぼすべてがあります。囲碁しか知らないため会社に不慣れで、毎場面を読みで解釈します。一行が決まると展開がそこへ整列する証拠です。
昇格時は階層行を端役から主要へ替え、短縮で飛ばした段階を追加します。既存の1カード回答・3キーワードは保存します。
そのため略式も様式ファイルに保存します。頭だけに置けば昇格時に最初からやり直しです。端役も一行ファイルとして残すのが最後の原則です。
9分類の補助抽出
一行のシードを九つの分類へ広げ、隣の空白を確認する補助道具です。シードが核心を圧縮し、9分類が空白を埋めます。
背景。 外見・性格・職業・環境など一軸だけでは、人生のほかの面が乾きます。9分類はその空白を先に見る表です。
導入目的。 九次元を並べ、シードと強く結びつく部分と空白を識別し、発展させるか空けておくかを意識して決めます。
期待効果。 立体的に動く準備を整え、第5段階ドラマ、第7段階欠点・トラウマ、第9段階葛藤の判断を速めます。
九分類は、1職業・役割、2家族・関係、3外見・視覚(身体アンカー候補)、4時間軸・年齢、5空間・地理、6社会・階級、7能力・才能、8欠点・欠如、9矛盾・二重性です。
各一、二行で答え、シードにあるものは保存、ないものは一次案を作ります。AIが案を作り、プロデューサーが採否を決めます。
Mの例:
1. 職業・役割:三十年目の法医病理医(シード)
2. 家族・関係:母の不在(シード)+三十年同行する同僚
3. 外見・視覚:解剖服の下の白シャツ+左手人差し指のたこ(第5段階で発展)
4. 時間軸・年齢:55歳 / Erikson第7段階(生殖性 vs 停滞)
5. 空間・地理:ソウル某大学病院の解剖部門
6. 社会・階級:中流専門職 / 強い職業的自尊心
7. 能力・才能:遺体の指のたこから職業を推定(シードの発展)
8. 欠点・欠如:私的領域の回避(第7段階)
9. 矛盾・二重性:解剖台では正確、セルフレジでは停止(シード)
一、二次元が空でも後で埋まりますが、空白を意識して入ることが本旨です。
Erikson発達段階: 人生を八時期に分け、各時期の課題を対にした理論。第7段階は中年の「生殖性対停滞」で、次世代へ残すか自分の内へ滞るかを問います。
事前準備モジュール3・4の適用
シード段階でよく働く二つがあります。
モジュール4(世界観整合性) がオンなら、世界の一行、技術・魔法水準、社会構造、葛藤源、年表、核心人物、トーン、禁止事項とシードを照合します。一、二項目のずれは補正、五項目以上なら廃棄・再開始。30分以内で後続11段階を大きく節約します。
モジュール3(参照キャラクター) もよく使います。外国・韓国作品から一、二人ずつ選び、外国参照、韓国参照、借りた類似点、ひねった相違点、クリシェ回避メモの五行で対応させ、トーンがずれたとき戻る基準にします。
次章へ
シードは人物の出発点を一行へ圧縮し、外部シードと30カードの二経路があります。AIから一次回答を受け、プロデューサーが採用・結合・廃棄・圧縮を決めます。三つの略式で素早く入れます。
本章でM(法医病理医)とJ(作家)の二人を紹介しました。後続では各段階に合う人物を選んで再登場させます。
次章は自己客観化の鏡です。シードの人物に五種の尺度を当てて一語のアイデンティティを抽出し、MとJの異なる結果を比べます。
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