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MEJE PROCESS · MEJE ロアブック制作ワークフロー (15 章)

第7章 三つの声色――年代記体・現場体・図鑑体

MEJE Works · 章 7

第7章 三つの声色――年代記体・現場体・図鑑体

司馬遷『史記』、トールキン『ホビット』、リンネ『自然の体系』が同じ棚にあると想像します。『史記』は事件の時・人・結果を乾いた調子で記録し、『ホビット』は草の色と煙の匂いを敷き、『自然の体系』は分類コードと分布をカードにします。LOREBOOKは三冊を一冊に集めた本です。

同じ「水平47年春、メリトン郊外で七歳の少女が神を受け、家門初の巫堂となった」事件も三声色で変わります。

[年代記体]
水平47年春、メリトン市郊外の巫堂家で少女が神を受けた。七歳であり、家門初の巫堂となった。この事件から三代にわたる世襲が始まった。

[現場体]
その夜明けもいつもと変わらなかった。細い路地の奥の庭で香が長く燃え、七歳の子が神壇前にひざまずいた。指先が香炉の温もりに触れた短い間に、何かが身体へ入った。

[図鑑体]
巫堂入門通過事例047。日付: 水平47年春。場所: メリトン郊外。
入門者: 7歳女児。家門: 初代巫堂。平均入門年齢: 6〜9歳。平均通過率: 約60%。

同じ資料でも、記録・現場・分類表という印象になります。450頁を単一声色で書けば疲れるため、核心三つと補助四つを12部へ分散します。

年代記体――史

歴史記録者の声です。感情を載せず、悲劇や栄光の評価を読者へ渡します。時間・場所・人物を明示し、「いつか」「どこか」「誰か」を避け、判断を保留します。「三代世襲の始まり」は事実ですが、「重い運命」「輝かしい歴史」は語り手の判断です。

第3部歴史・年代記と付録年代記総覧に適し、『史記』『三国史記』『朝鮮王朝実録』、ゲームでは『Forgotten Realms』年代記や『Warhammer』帝国史が本例です。

現場体――場

その場所にいる人の声で、匂い・音・距離・人波・日常を感覚から解きます。抽象的な都市でなく一つの路地、一般的人物でなく一人の通行人を見ます。

ヒップス通りの深夜二時を過ぎると油の匂いが濃くなる。路地の食堂が夜食を作り、通行人が手をポケットに入れて急ぐ。カフェの窓越しに巫堂が薄い茶を飲み、湯気が窓を曇らせる。

第4部地理、第6部日常・文化、第7部ジャンルアクターに適します。感覚が多すぎると情報密度が落ちるため、一段落に感覚一、二個と事実一、二個を置きます。

図鑑体――鑑

分類学者の声で、分類コード、測定値、分布、カード形式を使い、良し悪しを判断しません。

男性巫堂(学名: Mudang masculus)
分布: 都市50%、農村30%、遊行20%
頻度: 全人口の約0.05%
入門: 神降ろし通過
細分: 神壇守・法師・遊行巫堂
関連: 憑依・神降ろし・凝り

第8部次元・空間、第9部存在、第10部勢力に適し、『自然の体系』『Monster Manual』、ポケモン図鑑、Star Wars Visual Dictionaryが本例です。カードだけでは通読が切れるため短い散文を挟みます。

補助四声色

前書き体は読者へ直接挨拶し、エッセイ体は第1部や後書きで思考の流れを追い、法則解説体は第2部でメカニックの原理を解き、道具体は用語集・索引・地図キャプション・年代記行を案内します。核心三つと合わせて七声色です。

部別声色マッピング

主声色60〜70%、補助30〜40%です。序文は前書き体。第1部はエッセイ+現場、第2部は法則解説+図鑑、第3部は年代記+エッセイ、第4部は現場+図鑑、第5部は図鑑+年代記、第6部は現場+エッセイ、第7部は現場+図鑑、第8部は図鑑+年代記、第9部は図鑑+現場、第10部は図鑑+年代記、付録は道具体です。

一部内でも声色は分散する

第9部の人物カードは図鑑体で分類し、現場体で日常に肉付けし、年代記体で履歴を示します。主声色を保ちながら補助を混ぜることで単調さを防ぎます。

絶対禁止の五つ

七声色すべてで避けるのは、読者へ教える講義体、資料を膨らませる誇張された運命、プレイヤー・ダイス・生成などのゲームメタ、寿命の短い流行語、例外を消す断定的決定論です。LOREBOOKは上から教えず読者の隣に座り、IP内部から資料を見せ、長く読める言葉で例外を残します。

声色検収の合格線

第一に主声色が一部の70%以上、補助は30%まで。第二に部を越えると読者がトーン変化を感じること。第三に一部内が50対50へ割れないことです。半分ずつなら部分修正でなく全体再執筆が必要です。

明白な講義体や誇張は自動検査できますが、図鑑体に少し講義体が混ざるような微細なずれとIP固有調整は人が判断します。七声色が自然に流れれば、読者は時間を追い、路地に立ち、分類カードの間を歩く一冊を通読できます。


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