MEJE PROCESS · MEJE ロアブック制作ワークフロー (15 章)
第10章 Phase 0〜3 — 合意書から試験パートまでの前半
第10章 Phase 0〜3 — 合意書から試験パートまでの前半
映画の最初の作家会議を思い浮かべてください。作家たちを囲む机には一冊のPDFが印刷され、表紙にはNDAとShow Bible v1.0と記されています。最初の一時間は、どのページに何があるかを全員で確認する時間です。それが終わって初めて、シーズンの本格的な作業が始まります。LOREBOOK制作の最初の一か月もこれに似ています。本文を一行ずつ書くのではなく、一つのIPに関するすべての決定を一つの文書にまとめる時間です。
Phase 0の成果物は一冊の本ではなく、一式の合意書です。
最初の2〜4週間は、1,500項目をどう扱うかという決定を約10〜20ページの文書に集約します。この文書が以後9〜14か月のSSOTとなり、これが整って初めて、骨格・試験パート・拡張へ順に進めます。
Phaseという呼称はゲーム開発の現場から借りたものです。一段階の成果物が次段階の入力になる、依存関係の明確な仕事で使われます。LOREBOOKはPhase 0〜6の七段階に分かれ、各段階の合格線が次段階への進入ゲートになります。本章は前半四段階、合意(0)、骨格(1)、試験パート(2)、拡張(3)を扱います。およそ最初の4〜6か月です。
7 Phaseの時間軸
Phase 0は合意書を作る2〜4週間です。Phase 1は骨格ビルドの1〜2週間で、空のLOREBOOKディレクトリ1,500件を自動生成し、frontmatterを自動変換します。Phase 2は試験パート一つを作る3〜4週間で、マスターの検収を受けます。最長のPhase 3では4〜6か月かけて残る11パートの散文を書きます。Phase 4は整合性検証の1か月、Phase 5は付録制作の1か月、Phase 6は出版版・ウェブ変換の2か月です。
合計9〜14か月です。人手だけなら18〜24か月かかりますが、AIの作業パートナーと進めれば半分近くまで短縮できます。
各項目の進捗は六段階で追跡します。☐ 未着手、◐ メタデータのみ、◑ 散文の初稿、◕ 散文完成、● 相互参照を含めて完成、✓ 校正・検収完了です。_進捗状態.md一ファイルで1,500項目の状態を毎週更新し、この表示をPhase進入の合格基準にします。
本章は0・1・2・3を、次章は4・5・6を扱います。
Phase 0 — 合意書を書く一か月
Phase 0に2〜4週間を割くのは、すべての決定を一文書にまとめるためです。決定の重みは同じではなく、先の決定を終えなければ次へ進めない依存関係があります。
最初に行うのは入力確認です。Vaultの1,500見出し語、13列frontmatter、9分類と世界観軸の整列、Obsidianグラフビューの動作を確認します。入力が不足すればPhase 0内でライブラリングに戻ります。13列の欠損は第2次統合へ、9分類や世界観軸が未決定なら第1周期へ戻します。入力が整って初めて、パート構成とトーンガイドを決められます。
次に重いのがパート構成とトーンガイドです。パート構成では第4章の手順を使い、10・12・14パート型から適切なものを選びます。IP規模、世界観軸分布、ジャンル・アクター、次元の多層性、短編資産という五つの確認に従います。トーンガイドは第7章の七つの声をパートごとに割り当て、IPの性格に合わせて比率を調整します。約2〜3ページの別Markdownにし、全パートで参照します。この二つが本のアイデンティティとPhase 2の合格線を決めます。
次は三つの政策です。SSOT階層は資料衝突時の優先順位で、標準はキャラクターシート、マスター検討済み短編、LOREBOOK、Vault散文、ルールブックです。IPによってルールブックが上がり、外国語原作なら原作が最上位になることもあります。短編分離政策は第9章に従い、別巻分離(推奨)、第11部への統合、引用ボックスから選びます。LOREBOOKの種類は第2章の五変奏A〜Eから選びます。多くは標準百科型Aで、異なる場合は合意書に差を明記します。この三つが本の政策を決めます。
最後は二つの実務判断です。出版仕様は標準B5判、約450ページ、イラスト予算、製本、表紙加工、デラックス案の大枠を決め、出版段階で精密化します。日程・予算合意は9〜14か月のうち各Phaseにどれだけ割り当てるかを決めます。IPごとに変動しても、進行中に確認できる大枠が必要です。
八つの決定は約10〜20ページのMarkdown文書となり、Bibleと呼ばれます。Phase 1〜6はすべてこれに基づき、問題があれば戻ります。試験パートでトーンのずれが見つかればトーンガイドを直し、Phase 3で構成の無理が判明すればパート構成を再決定します。
ここでマスターという役割が登場します。一つのIPに一人置く最終決定責任者で、パート構成、合格判定、出版仕様、各PhaseのGO/NO-GOゲートを担います。一人制作なら制作者自身が兼任します。TVシリーズのショーランナーやゲームスタジオのディレクターに近い役割です。
Phase 1 — 空の骨格をビルドする時間
Phase 1はほぼ自動化の時間です。1〜2週間で空の骨格を作り、人は主に検収します。
七段階の大半は機械的です。ルートのObsidian Vault [プロジェクト LOREBOOK]/を作り、_Spec.mdにBibleの重要決定をまとめます。00 序文から12 付録まで12個のパートディレクトリと空のREADME.mdを作り、各パート内に章ディレクトリと空の章READMEを置きます。
中心となる自動化は1,500件の空の項目Markdownです。13列のライブラリング資料からfrontmatterを自動変換し、本文は空にします。13列CSVをAI作業パートナーに渡せば約5分で生成できます。最後にルートREADMEと、全1,500項目を☐で初期化した_進捗状態.mdを作ります。
人は約30分かけ、無作為に50件を開いてfrontmatter変換を検査します。
成果物は空のLOREBOOK骨格です。Obsidianのサイドバーには1,500ファイルが並び、グラフビューにはwikilinkのノード構造が見えますが本文は空です。Phase 2〜3で一件ずつ本文を埋めます。
Phase 2 — 一つのパートで本の運命が分かれる
Phase 2は最大の分岐点です。試験パート一つを書いてマスターが検収し、GOならPhase 3へ、NO-GOならBibleを更新して書き直します。
欠陥を残してPhase 3へ進むと、同じ欠陥が12パートに広がり、Phase 4の整合性検証で初めて発覚します。その時点では回復費用が巨大です。試験パートが適切なら、そのトーン、SSOT引用、絶対禁止の回避が全パートに受け継がれます。一つの決定が全体の形式を定めます。
試験パートには通常、第2部「世界法則」か第4部「地理」を選び、IPの正体が明瞭な方を採ります。架空IP「○○」なら、巫俗・料理・日常の混合が都市や街区に現れる第4部が適します。魔法体系が核となるSF・ファンタジーなら第2部です。D&D『Forgotten Realms』のような大規模IPが魔法学派を最初に試すのも、メカニクスがIPを定義するからです。
作業は六段階です。試験パート選定、パートREADMEと全章README、リンクの多いhub項目3〜5件の散文化、トーン・構造・SSOT引用パターンを第7〜9章に照らした検証とトーンガイド反映、死んだリンクと絶対禁止五項目のパート単位確認、マスターによるGO/NO-GO判定です。
約3〜4週間で終わり、hub項目の散文化とマスター検収に最も時間がかかります。
合格判定は五項目です。パートREADMEが案内書として機能すること、全章READMEがあること、核心3〜5項目が◕以上であること、トーン・構造・SSOT引用が第7〜9章と一致すること、絶対禁止五項目が0件であること。すべて✓ならGO、一つでも未達ならNO-GOです。
NO-GOでは原因がBibleか作業かを分析します。Bibleなら更新して再執筆し、作業なら部分または全体を書き直します。この判断が全工程を左右するため軽く扱いません。
試験なしで12パートを同時進行する道もありますが、同じ欠陥が全体に広がったままPhase 4へ行くため推奨しません。
映画のパイロット・エピソードも同じ役割です。シーズン前に一話を撮り、トーン・人物・演出を決めます。『Lost』のパイロットが約1,400万ドル、通常一話の約5倍を要し、『Game of Thrones』のパイロットが再撮影されたのも、一話が6〜8シーズンを左右するからです。LOREBOOKの試験パートも、残る11パートの前にトーン・構造・整合性を試します。
Phase 3 — 4〜6か月の本格執筆
Phase 3は試験パート以外の11パートをすべて書く最長段階です。各パート2〜3週間、合計4〜6か月です。
順序は無作為ではなく、アイデンティティが安定する順です。まず1・2・3部(世界のトーン、世界法則、歴史・年代記)で本の方向を確定します。次に5・6・4部(社会・日常・地理)という最大で安定した日常骨格を埋めます。その後7・9・10部(アクター・図鑑)を、人物と勢力のSSOTが安定してからカード形式で整理します。カード項目は軽く、先行部分の修正にも対応しやすいからです。最後は第8部(次元・空間図鑑)です。最も難しく、他パートの整合性を吸収するため後に置きます。
順序は1 → 2 → 3 → 5 → 6 → 4 → 7 → 9 → 10 → 8。IPで多少変わっても、流れはアイデンティティ → 日常骨格 → カード化 → 統合です。
各パートは試験と同じ五段階を繰り返します。パートREADMEと章README、hubから始める散文化、標準項目とカード項目、パート単位整合性確認、実際の分量・状態を反映したREADME更新。これを11回行います。
イラスト発注も並行します。パートが◕に達してから発注します。本文未確定で先に頼むと、本文更新時に再発注が必要となり回復費用が大きいため、本文v_確定後に発注が標準です。
_進捗状態.mdは毎週更新します。遅れをすぐ発見し、4〜6か月の長期作業を小さな週次点検で守ります。
典型的な5か月日程では、1週目に第1部hub 5件が◑、2週目に標準5件を追加、3週目にカードが◕となって第1部が合格します。4週目に第2部を始め、同時に第1部イラスト7〜10件を外注します。第2部でトーン不一致が見つかればその場で書き直します。8週目に第2部、12週目に第3部、16週目に第5部、20週目に第6部が合格し、23週目に第4部の統合概観が入ります。毎週約一時間の点検で大きな事故を防ぎます。
成果物は全パートが●〜✓に達した本文です。1,500項目の散文とwikilinkが完成し、イラスト発注が80%以上進み、グラフビューには1,500ノードと5,000〜10,000リンクが描かれます。ただし完成ではなく、Phase 4〜6で整合性検証、付録、ウェブ・出版パッケージを進めます。
各Phaseの進入ゲート
各Phaseの合格線を明示することが工程の構造を作ります。
0から1へは入力確認とBible完成をマスターが検査します。1から2へはディレクトリ骨格、Spec、全体README、全項目☐または◐の_進捗状態.mdを自動構造検査します。2から3が最も厳しく、試験パートが◕〜●、トーンガイド更新、マスターのGOが必要です。3から4へは全パート全項目が◕以上でイラスト発注が始まり、自動検査とマスター検収が同時に働きます。
通過できなければそのPhaseに戻ります。暫定的な迂回は推奨しません。不足を持ち越すと次段階全体へ広がり、回復費用が急増するため、ゲートは必須です。
架空IP「○○」のPhase 0〜3
Phase 0は約3週間でした。Vault 1,200項目を確認し、60キャラクターを9・10部に分ける12部型を選択。七つの声を割り当て、巫俗領域の図鑑体・現場体を強めました。SSOTはキャラクターシート → 短編 → LOREBOOK → Vault → ルールブック。短編30編は別巻、種類は標準百科型A、仕様はB5上製約450ページ、イラスト予算1,500万ウォン、全日程11か月です。成果物は18ページのBibleでした。
Phase 1は約1.5週間でした。[○○_LOREBOOK]/、_Spec.md、12パート、各3〜6章、frontmatter変換済みの空の1,200項目、全体README、全項目◐の_進捗状態.mdを生成しました。成果物は空の骨格です。
Phase 2は約4週間でした。都市と街区にIPの巫俗・料理・日常が最も現れるため、第4部地理を試験にしました。パートREADMEと5章のREADME、hub 4件(6スタイル地区概観、メリトン、ヘウォン飲食街、旧ムーダン街)を散文化しました。トーン・構造・SSOT検証で死んだリンク0、絶対禁止0を確認。四番目のトーンを部分修正後、マスターのGOを得て第4部は◕〜●に達しました。
Phase 3は約5か月で、第1部(3週)→ 2(4週)→ 3(4週)→ 5(3週)→ 6(3週)→ 7(3週)→ 9(4週)→ 10(3週)→ 8(3週)の順でした。各パートはREADME → hub → 標準 → カード → 整合性確認 → README更新。イラストは第1部◕から始めて5か月で90%、_進捗状態.mdは毎週金曜に更新しました。成果物は全パート●〜✓です。
この時点で本文はすべて書かれています。次は整合性検証、付録制作、出版版・ウェブ公開版への変換です。
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