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MEJE PROCESS · MEJE ライブラリング・ワークフロー白書 (21 章)

第6章 二つの分類基準 — 9分類と世界観軸

MEJE Works · 章 6

第6章 二つの分類基準 — 9分類と世界観軸

一つのIPに分類基準が一つしかなければ、何が起こるでしょうか。「共同」の人物分類を開くと、協会幹部、ダンジョン攻略の覚醒者、一般市民が同じ場所に集まっています。三者とも人物です。しかし、三者が協会領域、ダンジョン領域、日常領域のどれに属するかは、人物分類一つだけでは分かりません。同じ限界はどのIPにも現れます。

この本で頻繁に使う実演IPは「菌糸海」です。惑星を覆う菌糸網が魔法、記憶、通信の媒体であり、種族はどの菌と共生するかで分かれるSF生態世界です。直交とは何かをこのIP一つで最後まで追えば、二つの分類基準がどうかみ合うかが鮮明に見えます。

ライブラリングは9分類と世界観軸という二つの分類基準を使います。二基準は互いに直交します。9分類が「このキーワードは叙事でどのような機能をするか」を問うなら、世界観軸は「このキーワードは私たちの世界観のどの構造に属するか」を問います。一表題語は二つの問いにそれぞれ一つの答えを持ち、その二つの答えが座標になります。

分類基準が一つだけなら

9分類だけのとき何が起こるかを、武功が星座に結ばれた江湖世界「星羅江湖」で見ます。人物分類を開くと、正派の長門人、邪派の刺客、天文を読む観相家、江湖をさまよう浪人が一分類に集まります。四人とも物語の中で行為者として機能する点では、確かに人物です。

しかし、この四人が互いにどのような関係にあり、IP世界観のどの領域に属するかは、人物という分類だけでは分かりにくいものです。正派の長門人は正派・邪派が分かれる正邪派領域と一門派を率いる門派領域にまたがり、観相家は武功が星に結ばれた天文領域に触れ、浪人はどの門派にも属さない江湖領域に属します。同じ「人物」でもIP内ではまったく異なる世界観領域に分布しているのです。

この区別がVaultに表現されなければ、誰かが「天文領域の人物をすべて見せて」と検索しても答えを得られず、人物分類全体を開いて一つずつ目で選ぶしかありません。表題語が1,500個なら非常に面倒ですが、世界観軸が第二の分類基準として加われば、この問題は解決します。

ファセット分類、二つの独立基準の歴史

二つの独立した分類基準を一緒に使う方法は、ライブラリングの発明ではありません。情報科学と図書館学にはファセット分類(Faceted Classification)という方法論があります。

動物→脊椎動物→哺乳類→食肉類→ネコ科のように、一つの基準で階層を下るのが伝統的な階層分類法です。この方法は直感的ですが一つの基準しか使えない限界があり、「アフリカに住む哺乳類」のように地域と分類群という二基準を同時に掛ける検索はできません。

ファセット分類は、一対象を複数の独立したファセット、すなわち複数の面へ分ける点で異なります。本一冊なら主題は歴史、地域は韓国、時代は朝鮮、形式は小説というように、各ファセットが独立して付くため、どのファセットでも検索でき、「朝鮮時代の韓国歴史小説」のように四ファセットを同時に掛ける検索も可能です。

Obsidianのtagsシステムがこのファセット分類を実装し、ライブラリングの9分類と世界観軸は、このシステムを二つの独立ファセットとして活用します。

直交するということ

数学で二軸が直交するとは、二つが独立して動き、一軸の値が他軸の値を決めないことを意味します。X軸が「どの方向を向くか」、Y軸が「どれほど高いか」を決めるとき、東を向いても低い場合も高い場合もあり、高くても東向きか西向きかはあり得るため、二軸は直交します。

9分類と世界観軸の直交を「菌糸海」で見ます。このIPの世界観軸を「菌糸網」「種族」「共生」「身分」「地形」「一般」の六軸と定めたとします。「光菌族」は9分類では人物、世界観軸では種族であり、「空の胞子嚢」は事物かつ種族、「共生」は概念かつ共生、「菌糸接続」と「共有記憶」は装置かつ菌糸網、「大きなノードを握る支配者」は人物かつ身分、「不毛地」は場所かつ地形、「発光菌糸」はミザンセーヌかつ地形です。同じ世界観軸「種族」に人物、事物、概念が入り、同じ9分類の人物に種族軸の光菌族と身分軸の支配者が入ります。一表題語は9分類一つと世界観軸一つの積として座標化され、二座標が互いを決めないことが直交です。

事件が人と場所と事物を束ねるとき

世界観軸を設計するとき、しばしば抜け落ちる観点があります。人物、場所、事物、事件を別々に分けるだけでは、関係が十分に現れないことです。文化遺産情報を統合するCIDOC CRMのようなオントロジーが、人、場所、事物、時間を独立した一覧だけとして見ず、事件と行為を通じて結ぼうとする理由もここにあります。博物館の遺物が意味を持つのは、それがどの時代、どの場所、どの人の手を経て、どの事件に置かれたかが一緒に記録されるときです。

IPも似ています。一本の剣は事物、剣客は人物、比武場は場所です。しかし、その剣が誰から誰へ渡り、どの比武場で折れ、その事件のあとに門派の権威がどう変わったかを束ねるのは事件です。事件がなければ人、場所、事物は別々の一覧として残り、事件が入れば三一覧は一つの世界観記憶につながります。

したがって世界観軸は、単に「人物軸」「場所軸」「事物軸」を作ることではありません。9分類がすでに人物、場所、事物を分けているので、世界観軸はその上で、これらがどの世界観領域と事件の流れの中で出会うかを示すべきです。あるIPでは「王位継承」が軸となり、あるIPでは「菌糸網」、別のIPでは「安置」が軸になります。よい軸は一覧を細かく刻む名前ではなく、人、場所、事物、事件がともに束ねられる場面を説明する名前です。

世界観軸が必要な理由

9分類だけで分類すると、人物分類を開いたとき主人公と端役、異なる世界観領域の人物が一緒に混じります。叙事機能は同じ人物でも、IPの中ではまったく異なる世界観領域に属するものです。

Vaultのグラフビューでは人物分類の点が一色に集まるため、「この人物たちは世界観のどの領域に属するか」を区別するにはもう一つの色分けが必要で、その第二基準が世界観軸です。ObsidianでVaultを開きグラフビューを開くと、点を二通りに色分けできます。9分類で見れば人物は青、場所は緑、装置は橙のように叙事機能別に分かれ、世界観軸で見れば領域ごとに異なる色が付き世界観領域別に分かれます。同じVaultを二つのレンズで見るわけです。二レンズがそろえば、「特定の世界観軸にある特定9分類のキーワードだけをすべて見せて」という二座標を同時に使う検索ができます。

世界観軸はIPごとに異なる

9分類はこの本が定めた分類なので、どのIPにも同じく適用されます。世界観軸は異なり、IPごとに設計します。

五つのIPで軸の束がどう変わるかを見ます。各IPは核心領域五つに「一般」と「未定」を加え、七軸を置きます。現代ハンター物の「共同」はダンジョン、覚醒、協会、濃度、日常です。香りが身分と魔法を媒介する帝国であるロマンスファンタジー「香宮」は香り、身分、社交界、家門、神聖です。武功が星座に結ばれた武侠「星羅江湖」は武功、天文、正邪派、江湖、門派です。雨が正統性の印である東洋王朝物「雨司府」は天命、水、官庁、権門、民心です。死者が航路を導く帝国である宇宙SF「喪輿号」は冥路、航行、家門、安置、次元です。五IPの核心領域がすべて異なることが一目で分かります。

「杖」のように9分類では同じ事物である一物が、IPによりどの軸へ行くかも見ます。「星羅江湖」で星座を刻んだ本命星牌は武人の星を定める標識なので世界観軸「武功」に属し、「香宮」でその日にまとう香りを入れた香水瓶は身分証の代わりになる物なので「身分」に属します。「共同」で覚醒者の身分を分ける等級カードは協会が与える標識なので「協会」に属し、「喪輿号」で死者を固定した位牌は航法師が宿る航行の核心なので「航行」に属します。叙事機能は同じ事物でも、IPの世界観構造に従い武功、身分、協会、航行という異なる軸へ入ります。

人物分類も同様にIPごとに別の軸へ入ります。「香宮」の大貴族調香師は香りを作る者なので「社交界」軸、「雨司府」の雨司府大提学は天を語る官庁の長なので「官庁」軸、「喪輿号」の安置院司祭は死を司る者なので「安置」軸に属します。同じ9分類の人物でもIPがどの領域で組まれたかにより属する軸は異なり、世界観軸に正解パターンはありません。同じファンタジーでも魔法が核心のIPと政治が核心のIPでは軸が異なるため、まず本IPが何を中心に置くかを確認して軸を設計します。

D&Dの『Forgotten Realms Campaign Setting』の目次を開くと、この軸の発想が本の章構成としてそのまま現れます。Magic、Deities、History、Organizations、Life in Faerûnのような世界観領域が章単位に分かれ、各章には人物、場所、事物、事件がともに入ります。一人物がDeities章とOrganizations章の両方に出ることも普通です。したがってこの章構成は9分類でなく世界観軸に当たります。『Eberron Campaign Setting』も同じ方式で、領域の名と数だけが異なります。

D&Dが40年前に世界観を領域別に分けたことは、あくまで一つの分類でした。領域で分ければその中の人物、場所、事物は集まりますが、その人物が叙事で行為者か、その事物が叙事で装置かは領域分類だけでは分かりません。ライブラリングはこの領域分類を世界観軸として借り、その上に9分類を直交して重ねます。一軸でなく二軸の交差があって初めて、「信仰領域の人物表題語だけ」のように二座標を同時に指す検索ができます。既存ガゼッティアや個人Wikiが大半一基準で資料を分けるのに対し、ライブラリングは二基準を重ねてIP資料を読みます。

世界観軸の設計原則

世界観軸設計には四原則があります。

数は5〜7個。 少なすぎれば(二、三個)分類が粗すぎて意味がなく、多すぎれば(十個以上)管理が難しくなります。一IPの核心世界観領域を五〜七個へ圧縮するのが推奨範囲です。

「一般」軸と「未定」軸を必ず置く。 「一般」は特定世界観領域に属さない汎用語彙の分類で、「こんにちは」「昨日」「大きい」のようにIPと無関係に使われる語彙が入ります。「未定」はまだどの軸に属するか決められない表題語のための仮分類です。この二軸がなければ分類できない表題語がどこにも属さず残り、検収段階で初めて見つかります。

帰納的に決める。 頭の中で先に軸を作り表題語をはめ込むより、まず表題語100個を見て自然な束が何かを発見する姿勢が、本IPに適した世界観軸を作ります。この帰納的決定がプロファイリング段階の核心作業です。

固定しないが、勝手に変えない。 世界観軸は2次統合の進行中に調整が必要なことがあります。「一般」に入れた表題語が多くたまれば、そこから新軸が発見されることもあります。ただし軸を新設・変更するたびプロファイリングファイルに記録を残し、すでに付いた表題語の軸も一緒に再確認します。世界観軸は2次CSVとfrontmatterで許容値のように使われるため、一覧外の軸名が紛れ込めば検証段階でエラーになります。

プロファイリングであらかじめ決める理由

第3章の時間予算で最初に「プロファイリング」を置いたのは、世界観軸をあらかじめ決めなければ2次統合が難しいためです。

1次抽出後、5列CSVに並んだ5,000〜15,000行をAIの仕事仲間へ渡し13列へ統合させるとき、世界観軸列を満たすには許容値一覧が必要です。許容値がなければAIは表題語ごとに即興で軸を付け、1,000表題語にわたり軸名がばらつきます。「菌糸海」なら「菌糸網」「菌糸」「菌糸網世界観」「菌糸界」のように同じ軸を指す表記が四つに割れます。プロファイリングで世界観軸許容値一覧を確定し、2次統合委任で一緒に渡せば、AIの仕事仲間は許容値内でのみ軸を付けます。表記が統一されます。

プロファイリングの成果物は{プロジェクト}_profile.mdというファイルです。世界観軸許容値のほか、9分類のIP別特記事項、補助参照文書一覧、4次叙述執筆のトーン指針が一緒に入ります。このファイルがライブラリング1次サイクルの出発点です。

帰納的決定、表題語に軸を語らせる姿勢

プロファイリングで世界観軸を決める具体的な姿勢を「菌糸海」で見ます。1次抽出がまだない時点、または結果の一部を予め見た時点でIP文書を読むと、一ページ内に頻繁に一緒に現れる語彙の束が目に入ります。どの文書にも菌糸網、ノード、接続、共有記憶が一緒に出ます。別の所では光菌族、腐敗菌族、石菌族、胞子遊浪族が一緒に出ます。また別の所では光菌の森、腐敗菌の沼、石菌の山脈、不毛地が一緒に出ます。

これらの束がそれぞれ世界観軸候補です。「菌糸網」「種族」「地形」です。どの菌と結合するかが能力を分ける束なら「共生」となり、大きなノードを握る者へ権力が集まる束なら「身分」となり、どの束にも入らない汎用語彙の分類が「一般」です。こうして見つけた六軸に、どこにも入らない表題語のための「未定」軸を加えてプロファイリングで確定します。1次抽出後の2次統合で、各表題語がこれらの軸の一つに配置されます。

この帰納的姿勢は表題語が自らの軸を自ら明かすようにするものです。人が先に軸名を定めるのでなく、まずIPがどの領域に分かれるかを見ます。名前を先に置けば表題語をその名へ無理にはめ込むことになりますが、IPのパターンを先に発見すれば表題語は自然に自分の分類へ座ります。

二座標が一緒にあるとき

二つの分類基準が一緒にあれば、Vaultの情報構造は立体的になります。

「菌糸海」の新エピソードで菌糸網の作動原理を詳しく扱う際、関連装置表題語を集めたいなら、世界観軸「菌糸網」と9分類「装置」を同時に掛け、菌糸網領域の全装置表題語を呼び出せば、接続と共有記憶がどうかみ合うかを一目で見られます。同じ検索はほかのIPでも通じます。「喪輿号」で航行を扱う短編を書くため、その領域の装置を集めたいなら世界観軸「航行」と9分類「装置」を掛け、「香宮」で社交界場面の人物を選びたいなら「社交界」と「人物」を掛けます。どのIPでも世界観軸と9分類を掛ければ望む積集合がすぐに出ます。

この二座標検索が可能になることこそ世界観軸導入の実質的理由です。一分類基準だけなら全人物を開いて一つずつ見るしかなかったものが、二基準が直交すれば望む積集合をすぐ取り出せます。

frontmatterの実際の形

3次骨格ビルドで.mdファイルが作られると、ファイル先頭のfrontmatterは次の形です。

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title: 菌糸接続
aliases: [接続, 菌糸網接続]
category: 装置
worldbuilding_axis: 菌糸網
english: Mycelial Linking
romanization: Gyunsa Jeopsok
version: 現行
tags:
  - category/装置
  - axis/菌糸網
  - version/現行
sources:
  - ルールブック第3版 p.24
related:
  - "[[共有記憶]]"
  - "[[無菌者]]"
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categoryフィールドが9分類、worldbuilding_axisフィールドが世界観軸です。二フィールドはtags配列にcategory/装置axis/菌糸網の形で入り、検索に掛かります。第7章で3次骨格ビルドを詳しく扱うとき、このfrontmatter構造を再び扱います。

世界観軸運用の二つの罠

作業中によく出会う罠を二つ確認します。第一は世界観軸のインフレーションです。最初は六個だったのに、「一般」へ入れるのが曖昧な表題語が出るたび新軸を作ると、いつの間にか十二個へ膨らみます。世界観軸が十個を超えると、Vaultグラフビューの色分けが意味を失い、検索フィルターも複雑になり管理が負担です。新軸が必要に見えるときは、まず既存軸へ吸収できるかを見て、吸収できないときだけ新設し、そのたびプロファイリング更新へ記録を残します。

第二は9分類と世界観軸の混同です。「菌糸海」で世界観軸「菌糸網」と9分類「装置」を混同し、菌糸網関連キーワードをすべて装置分類に入れたり、逆に「装置」を世界観軸にしようとしたりする場合です。9分類は叙事的機能、すなわち何をするかを問い、世界観軸は世界観構造、すなわちどこに属するかを問います。同じ菌糸網領域にも装置、人物、価値、事件がすべて入ります。二基準が直交する事実を常に意識します。

hub決定の補助資料

hub決定は第8章で詳しく扱うため、ここでは世界観軸がその決定をどう補助するかだけを先に確認します。

一世界観軸内で関連キーワードの被引用回数が最も高い表題語が、その軸のhub候補です。「菌糸海」なら「菌糸網」軸で最も引用される表題語がその軸のhub候補となり、「種族」軸で最も引用される表題語がその軸のhub候補となります。このように軸別hubを探せば、本IPの世界観領域ごとの核心表題語がどこにあるかが見えます。さらに全体被引用回数上位の表題語を一緒に置けば、Vaultの構造的中心が立体的に浮かびます。

この二レンズがあって初めて見える問いがあります。「菌糸網軸のhub表題語は何か」と「種族軸のhub表題語は何か」を比べると、どの軸がより多くのhubを持つかが分かります。この比較は「このIPがどの世界観領域を最も深く掘ったか」を示します。五年の運営で菌糸網軸にhubが四十個、種族軸に五個なら、種族世界観が相対的に未発展だという信号です。この信号は次の創作方向を決める資料になります。

二座標系を手にして

プロファイリングで確定した許容値一覧は2次統合委任時に一緒に渡され、AIの仕事仲間が各表題語へ候補軸を付け、人が検収で確定します。一分類基準だけでは見えないものが、二基準の積集合検索で見えます。

第7章は3次骨格ビルドで、13列CSVが整うとObsidian .mdファイル1,500個へ自動変換される段階です。人の手がほとんど触れない自動化段階ですが、その結果として初めて画面に1,500個の点と線が広がります。


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