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MEJE PROCESS · MEJE ソヨンガク翻訳ワークフロー (15 章)

第6章 一文の分かれ道――構造をあらかじめ定めておく資料

MEJE Works · 章 6

第6章 一文の分かれ道――構造をあらかじめ定めておく資料

前回は一区間の表の内側まで入りました。18区間のうち第9区間の一枚を開き、一行一行がどのように時間を入れるかを確かめました。今回は表が入れられない部分、しかし翻訳で最もずれやすい箇所を扱います。一文の構造です。

一文が三つに分かれる場所

頭が赤い魚を食べる猫。

この一文を聞いて、頭にどんな絵が浮かびますか。少し止まって考えてみてください。

三つの絵が可能です。

  1. 頭が赤い猫が(ただ)魚を食べている。
  2. 赤い頭の魚を(ただ)猫が食べている。
  3. 赤い魚の頭を(ただ)猫が食べている。

同じ一文で、赤いものが何かは三つに分かれ、誰が何を食べるかも一緒に分かれます。これは韓国語だけのことではありません。英語にも同じ分かれ道があります。

I saw the man with the telescope.

望遠鏡でその男を見たのか、望遠鏡をもつ男を見たのか。英語一文が二つに分かれます。どの言語でも、一語の意味が明瞭でも、語同士の結び方で分かれ道が生じます。

こうした分かれ道は作品のあちこちに隠れています。一文が二つ、三つの意味として同時に生きるとき、翻訳者はその一つを選び韓国語へ移さなければなりません。その判断は作品全体で一貫していなければなりません。

35種の資料が解けない場所

ここまで見た35種の資料は、すべて言葉の重さを入れてきました。人物ノートは人物がどんな人かを、時代百科は時代の言葉がどんな含意をもつかを、モチーフ辞典は言葉が作品内で反復されどう変わるかを扱います。

しかし、どの資料を開いても「この一文は三つのうちどれか」という答えは出ません。資料が答えられるのは言葉の重さであり、言葉同士の関係ではないからです。

ここを空けておけば何が起きるでしょうか。翻訳者は曖昧な文に出会うたび、自分の判断で決めます。同じ作品を別の翻訳者が訳せば、同じ箇所で別の判断が下ります。一人の翻訳者でも二、三か月の間隔で作品の別部分を訳せば、同じ構造の文に別の判断を与えることがあります。その都度、解き直すからです。

翻訳の一貫性は、毎回決め直さないことから来ます。そこで私たちは、もう一種の資料を作りました。

私たちが定める一つの答え

この資料の約束は単純です。一作品のすべての文について、私たちは一度だけ決める。 決定を一行のテキストに書き、次に誰かがその文に出会ったら資料のその行を開きます。

決定の表記方式は私たちの発明ではありません。自然言語処理の分野で約60年、標準として使われてきた形式があります。括弧表記法です。学界ではPenn Treebank表記、実務ではDe Facto Standard(事実上の標準)と呼ばれます。

頭が赤い猫が魚を食べるという最初の絵を、この表記で書くと次の通りです。

(NP (NP (NP 머리가) (VP 빨간)) (VP (NP 생선을) (VP 먹는)) (NP 고양이))

初めは複雑に見えますが、規則は単純です。括弧内の最初はタグ、その後がタグの束ねる単位です。

タグ 意味
NP 名詞句(Noun Phrase)
VP 動詞句または形容詞句(Verb Phrase)
S 文(Sentence)
PP 前置詞句(Prepositional Phrase)

上の一行をほどくと、最も大きいNP(名詞句)は「猫」で、その猫を「頭が赤い」と「魚を食べる」という二つの修飾の束が飾ります。第二の絵なら括弧の束ね方が違います。「頭が赤い魚」が一つのNPになり、それを猫が食べる構造です。

同じ韓国語文でも括弧の位置が違えば絵が違います。括弧の位置を一度決めれば、絵が一度決まります。

英文の例――Pride and Prejudice の冒頭文

Pride and Prejudice の最初の文は、英文学史で最も有名な一行です。

It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune must be in want of a wife.

直訳すると「財産をもつ独身男性には必ず妻が必要であるという事実は、普遍的に認められている」です。表記するとこうなります。

(S (NP It) (VP is (NP (NP a truth) (VP universally acknowledged) (SBAR that (S (NP a single man (PP in possession of a good fortune)) (VP must be (PP in want of a wife))))))

長い一行ですが、束が見えます。最も外側は “It is...” の一文。その中に “a truth” があり、それを “universally acknowledged” と内容節 “that...” がともに修飾します。that 節の中には再び “a single man... must be in want of a wife” という文があります。

ここで一つの決定が必要です。“in possession of a good fortune”(財産をもつ)という句は何を修飾するのでしょう。a single manを修飾すると見れば「財産をもつ独身男性には妻が必要」となり、must beの補語と見れば「財産をもった状態で独身男性が妻を必要とする状態にいなければならない」となります。

私たちは第一を選びました。作品の核心モチーフ、結婚市場における富裕な男性の位置と一致するからです。この決定は上のツリーで (NP a single man (PP in possession of a good fortune)) と束ねられています。PPがNPの中に入るため、a single man を修飾する印です。

この一文の決定は作品全体で一貫して働きます。後に再登場する “in possession of” や “in want of” のような表現も、同じ姿勢で扱われます。

資料の形

この資料は Pride and Prejudice フォルダー内で独立した一席を占めます。フォルダー名は “De Facto Standard” で、中には章別ファイルが一冊ずつ入ります。作品は61章なので、ファイルも61冊です。

一章ファイルの内側はこうなっています。

### [L0704]
原文: It is a truth universally acknowledged, that a single man...
構造: (S (NP It) (VP is (NP (NP a truth) (VP universally acknowledged) ...)))
# 決定根拠: “in possession of a good fortune” は “a single man” を修飾するPP。

### [L0707]
原文: However little known the feelings or views of such a man may be...
構造: ...

一ブロックは三行か四行です。第一行はラインラベル、原文ファイルのどの行かを示します。第二行は原文、第三行は構造ツリー、最後に決定根拠が自明でない場合は一行の根拠を加えます。本文でない行(印刷補助線、イラストキャプション等)は 構造: (SKIP) と事前に示し、翻訳作業の流れを切りません。

翻訳者は一章を作業するとき、該当章のファイルを横に置きます。曖昧文に出会えば、その行のラインラベルで検索し、決定済みの構造を直ちに確認します。

どう作られるか

資料は二段階で作られます。

第一、スタブ段階。 原文テキストを章別に切り、一章ずつMarkdownファイルに保存します。この段階ではツリーを埋めず、ラインラベルと原文だけを整列させます。本文外の行は (SKIP) と先に印を付けます。

第二、変換段階。 各章ファイルの(変換待ち)部分を自然言語処理ツールで一次的に埋め、人が結果を検収します。ツールが誤って束ねた文は人が定め直し、決定根拠が自明でない文には人が一行のメモを付けます。

総時間は一作品一冊につき1〜2時間。自動生成約30分と人の検収30分〜1時間を合わせます。一度作れば、原文が変わらない限り作り直すことはほとんどありません。

35種とどう協業するか

この資料は35種を代替しません。35種が言葉の意味を入れ、この一種が文の構造を入れます。両方は同じラインラベルでつながり、翻訳者は一か所で両側を同時に見ます。

自由間接話法、すなわち語り手が人物の内面へすっと入り話す技法がよい例です。35種のうち語り手ガイドは「第36章の散歩場面は自由間接話法の区間」と示します。この一種は、その散歩場面のすべての文がどんな構造かを示します。二資料を一緒に見れば、主節が消えた節、従属節が独立して浮く区間、人物の内面が語り手の声へ混じる箇所など、構造的特徴が一目で出ます。一方の資料だけではつかめない結合です。

もう一つの協業があります。敬称・語調ガイド(共通コア8番)は人物別の呼称変化を追います。しかし呼称が正確にどの名詞句の位置に出るか、つまり “Mr. Bennet” が主語、呼びかけ(vocative)、同格のどれかは35種ではつかめません。この一種ではすべての呼称が (NP (NNP Mr.) (NNP Bennet)) と標示され、一パターンを検索すれば全出現箇所が直ちに得られます。漏れの点検が自動化されます。

資料は互いを支えます。言葉の重さが書かれた場所と、文の構造が書かれた場所が、同じ作品を二方向から束ねます。

あらかじめ決めておく姿勢

翻訳の一貫性は、毎回決め直さないことから来ます。同じ作品を二人の翻訳者が移しても、一人の翻訳者が6か月間隔で二回移しても、同じ決定が保存されなければなりません。毎回決め直せば決定はずれます。ずれないためには、決定が資料に書かれていなければなりません。

この一種は、その姿勢の一表現です。一作品の約5,000文について、私たちは一度だけ決めます。決定の結果は一行の括弧表記として資料に書かれ、翻訳者は曖昧文に会うたびその行を検索します。決定は解き直されません。

頭が赤い魚を食べる猫――三つの分かれ道で、私たちは三つのうち一つを一度で決めます。それが資料のする仕事です。

次回は一段上へ上がります。Pride and Prejudice であらゆる資料の種類と数がどう決まったのか、35という数に至る経路を一つの決定ずつ追います。


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