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KIM DONG-EUN · FTUE:初回ユーザー体験 (30 章)

第24章 事業目標と定量

キム・ドンウン WhtDrgon. · 章 24

第24章 事業目標と定量

仮の数字で話してみよう。D1が4パーセントだという数字を初めて受け取った日を覚えている企画者は多い。D1とは、今日初めて来た人のうち翌日も戻ってきた人の割合だから、100人がインストールし、翌日には4人が戻ってきたという意味だ。その数字を見た瞬間、頭の中で起きることはたいてい測定ではなく判決である。半年を注いだものが96人に拒まれた。自分の感覚は間違っていた。自分には才能がない。たった一つの数字が、作品への死刑宣告のように読めてしまう。

本章は、その判決を止めるところから始まる。どの数字を計器盤に載せるか、その数字の因果は前の二章で扱い終えた。ここでは、その数字が出たときに作り手の心がどう揺れるのか、そして何を入れて何を取り出すかを事業の言葉でどう書くのかを見ていく。低い数字はあなたの才能を否定する言葉ではなく、最初の体験のどこかにある取っ手を調整せよという信号だ。第23章では、売上は他人の決定であり、自分の決定はインプットだと述べた。同じ論理はあらゆるアウトプットの数字に当てはまる。D1も初回完了率も共有数も、他人の行動が集まって生まれた結果である。その結果を人格の点数として読めば手が固まるが、調整信号として読めば次に触る場所が見える。定量に自尊心を傷つけられてはいけない、というのは慰めではなく作業方法だ。自尊心が傷つけば数字をまっすぐ見られず、数字をまっすぐ見られなければ直す場所を見つけられない。

同じ4パーセントを二人が違って読む

第22章と第23章から続くあの架空のゲーム、キャラクターを集めて会話するモバイルゲームへ戻ろう。二人の企画者が同じ報告書を受け取った。例の数字はこうだ。初日に来た人の翌日再訪率が4パーセント、最初のキャラクターの完成率が30パーセント、最初の決済まで進んだ人が0.5パーセント。

一人はこの数字を自己評価として読む。4パーセントなら失敗、30パーセントなら自分のキャラクターが魅力的でない、0.5パーセントなら人々がお金を払う価値を感じなかった、というわけだ。数字が彼の才能を裁いたので、彼は報告書を閉じ、しばらく新しい作業に手をつけられない。もう一人は同じ数字を地図として読む。最初のキャラクターの完成率が30パーセントということは、十人中七人がキャラクターを完成させる前に去ったという意味だから、完成直前のどこで離脱したかを見る。色を選ぶ画面で半数が抜けるなら、色の選択肢が多すぎるか、その画面が早く出すぎたという信号だ。4パーセントの再訪率は、最初のセッションで戻る理由を植えられなかったという信号であって、キャラクターが魅力的でないという判定ではない。そして0.5パーセントという決済の数字を見て、初日決済転換率として0.5は実は平凡な範囲で、問題は4のほうだと言う。数字は基準線と並べてこそ読める。地図として読む人は、同じ報告書の中でも、どの数字が悲鳴でどの数字が平穏なのかを見分ける。同じ4パーセントを、一人は鏡として見て、一人は地図として見る。鏡は作り手の顔を映し、地図は直す場所を指す。

MEJEアイドンワールドでも、この違いはまったく同じように分かれる。ファンが最初のアイドンの着せ替えを終えずにアプリを閉じる割合が高ければ、作り手は「私のアイドンはかわいくないのか」と萎縮しやすい。だが、その数字が本当に指しているのはアイドンの魅力ではなく、合間の時間に立ち寄ったファンの短い忍耐のうちに着せ替えを終えるには、道のりが長すぎるという事実である場合が多い。かわいさを疑う代わりに道を短くすれば、数字は動く。数字を作品の点数として読んだならアイドンを描き直しただろう。調整信号として読めば、着せ替え完了までの段階を一つ減らす。

何を入れ、何を取り出すのか

事業目標を書くとは大げさなことではない。何を入れ、その代わりに何を取り出したいのかを正直に書くことだ。第23章で分けた、手で触れる入力と他人が決める出力という区別を事業の言葉へ移せば、そのままインプットとアウトプットになる。ゲーム一つを世に出すには多くのものが入る。時間、コンテンツ、キャラクター、報酬として与えるものが入る。人を連れてくるマーケティング費用、サーバーを動かす費用、毎日ゲームを見守って直す運営の手間も入る。これらが自分で制御できるもの、自分が決めて投入するインプットだ。

その対価として何が出てきてほしいのか。人が去らずにとどまるリテンション、一部の人がお金を使う決済、友人に知らせる共有が出てほしい。人々が集まって話すコミュニティが生まれ、「あのゲーム、知っている」と言うブランド想起が残り、この世界が次のコンテンツへ伸びるIP展開が起きてほしい。これがアウトプットだ。そして第23章で見たとおり、これらの出力はすべて他人の決定であり、自分が決められるのは入れる側だけだ。

ここでは二つのことを混同しやすい。一つ目は、出力を直接引っ張れるという錯覚だ。「決済を二倍にしよう」という目標には取っ手がないことを、第23章ですでに見た。だから事業目標は出力で立てても、その出力を実際に動かすにはインプットの言葉へ訳し直さなければならない。「リテンションを高めよう」は「戻る理由を一つ、最初のセッションに植えよう」へ、「決済を起こそう」は「有料の価値を十分に感じたあとで提案が来るようにしよう」へ訳される。二つ目の錯覚は、入れたものと出たものを同じ欄に書くことだ。時間と費用をたくさん費やしたのだから、それだけ出てくるべきだと信じれば、少ない結果が出たとき、その少なさがそのまま自分の不足になる。投入と産出は別の欄にある。多く入れれば多く出るのではなく、どこへ入れたかが何が出るかを分ける。

定性は「なぜ」を語り、定量は「どこ」を指す

数字に押し潰されないためには、数字が何を語り、何を語れないかを知る必要がある。定量、つまり数字で測ったものは、どこで何が起きているかを指す。最初のキャラクター完成率が30パーセントという数字は、「ここで人が漏れている」と正確に示す。だが、なぜ漏れるかは語れない。色が多すぎるのか、画面が分かりにくいのか、単に退屈なのかは数字の中にない。それを語るのが定性、つまり人を直接見て聞くことだ。一人の人をそばで観察すれば、その人が色選択画面で指を止め、眉間にしわを寄せるのが見える。それが「なぜ」だ。

定量はどこを、定性はなぜを。この二つを組み合わせてこそ数字は武器になる。どこだけを知り、なぜを知らなければ、完成率が低いからとキャラクターを描き直したのに、実は色の画面が問題だったというように、見当違いの場所を直す。反対になぜだけを知り、どこを知らなければ、全部を直さなければならない気がして手をつけられない。数字が「ここ一か所」と狭めてくれてこそ、そこへ力を集められる。だから低い数字を受け取ったときにすることは自責ではなく、二つの質問だ。どこで漏れているのか、そこで人々はなぜ去るのか。前者は定量が答え、後者は定性が答える。どちらも作品を裁く言葉ではなく、次に触る場所を絞り込む言葉だ。

初日の課金を最大化せよという、業界の古い計算

事業目標を扱う章なので、ゲームの外から入ってきた慣習を一つ検問所に立たせよう。無料でインストールさせ、その後に収益を得るゲームの世界には、人を連れてくるのにかかった費用を、その人がとどまるあいだに使うお金で埋めなければならないという古い計算がある。一人を連れてくる費用が決まっているなら、その人が使う金額はそれより大きくなければ事業は回らない。ここまでは間違っていない。問題は、この計算からよく導かれる結論だ。人はすぐ去るかもしれないから、滞在の早い段階、できれば初日に最大限の決済を引き出せ、という結論である。

この計算が何を前提にしているかを見よう。ユーザーを生涯に使うお金の総量として見て、その総量をできるだけ早く回収するのが安全だと考える。だから最初の画面に最良の商品、最大の割引、最も切迫した限定文句を置く画面が生まれる。「今だけ90パーセント割引」「初回決済で報酬十倍」、開始直後に現れるパッケージ画面。広告で人を買ってくる費用を初日中に埋めようとする切迫感が、そのまま画面ににじむ。すでにゲームをするつもりで来た人の一部は、こうした提案を得だと計算できるかもしれない。

一般の人は、この計算が描いた最初の画面を信頼の崩壊として読む。最初の画面で人が問うのは「これは何か、安全か」なのに、その場所で決済画面が先に出れば、楽しさを見る前に財布を求められたと感じる。広告で見たかわいいキャラクターを見に来たのに、最初のボタンが決済につながれば、そのキャラクターまで餌のように感じられる。最初の画面での決済圧力は、最も高価な場所で信頼を壊す。一度「このゲームはまずお金を取ろうとする」という印象が刻まれれば、その後の楽しさでもなかなか消えない。ゲーマーは初日割引を「得」と読むが、初めて来た一般の人は「警戒信号」と読む。

最初の画面の決済画面は、初めて来た人にとって売上ボタンではなく不信ボタンとして働くことがある。そのボタンが取り立てるのは、その日の売上ではなく、その人がとどまりながらゆっくり使ったはずの明日の可能性だ。

この計算が一般の人に課す料金は信頼であり、信頼は一度請求すれば返しにくい料金だ。初日の決済を最大化しようとして初日の再訪を失えば、連れてくるのに使った費用も回収しにくくなり、入ってきてもお金を使わず、再び来ることもない人が増えうる。初日の課金を絞り取る画面は、短期の数字一つを上げる代わりに、その人が長くとどまり、ゆっくり使う可能性を塞いでしまう。

無料ゲームを長く運営してきた側からも、似た診断が出ている。序盤から決済を強く迫るゲームは、そうでないゲームより一か月後のリテンションが目立って低いという報告が少なくない。そこで近年は、「まず決済を引き出そう」ではなく、「まずとどまらせ、その後に決済を勧める」方向へ重心が移っているという。長くとどまる人は、そのあいだに結局お金を使う。しかし圧力に嫌気が差して去った人は、連れてきた費用まで失わせる。その計算が背後にある。結局、連れてきた費用を埋めるという同じ目標でも、初日に絞り取る道と、とどまらせてから勧める道では、一か月後の数字が分かれる。

本質だけを残して変える。連れてきた費用を埋めなければならないという計算は残すが、それを初日に絞り取れという惰性は捨てる。決済は最初の体験の終着点ではなく、ずっと先の出力である。最初の画面の仕事は決済を引き出すことではなく、決済を可能にするだけの信頼と愛着を先に積むことだ。長くとどまってほしいゲームなら、そして本書が見つめる一般の人を連れてくるゲームなら、最初の楽しさより前の決済露出はほとんど常に損である。ゲーマーだけを対象にするコアジャンルのように、初日割引を得だと計算する客だけが来る場所では事情が異なるかもしれないが、その例外がこの断定を曇らせることはない。課金を初日に見せるか、隠すか、軽く予告だけするかを決める基準は、「今日はどれだけ絞り取れるか」ではなく、「この人が十分に価値を感じた場所はどこか」でなければならない。その場所を見つける方法もある。圧力がなくても自然に決済した人々が、いつ決済したかの分布を見て、その分布の先頭境界より前には提案を置かない。価値を感じたあとに来る提案は勧めであり、感じる前に来る提案は圧力だ。同じ決済画面でも、いつ表示するかが勧めと圧力を分ける。初日売上という出力の数字一つと、信頼というインプットを交換しない。

▶ 自分の画面に当てはめる三つの問い

  1. 今見て落ち込んだその数字は、自分が直接引けるものか、それとも他人の決定が集まった出力か。
  2. その出力を動かすインプットを一つ、自分の手で触れる言葉で書けるか。「決済を上げよう」ではなく「まず価値を感じてもらおう」のように。
  3. 最初の画面は、人に楽しさを一度返す前に財布を求めてはいないか。 1で詰まるなら数字を鏡として見ており、3で詰まるなら最も高価な最初の画面で信頼を失っている。

だから、出力をインプットの言葉で書き直す

事業目標を正直に書いたら、次にするのはその目標を自分が触れる言葉へ移すことだ。その目標の中心には、第22章で立てた北極星、つまりこれらの事業目標が最終的に指す一つの数字がある。リテンション、決済、共有、コミュニティ、ブランド想起、IP展開。これらは目的地にすぎず、取っ手ではない。取っ手は目的地へ向かう道に敷かれたインプットだ。だから目標ごとに、それを起こすには最初の体験で何を入れるべきかを問う。リテンションがほしければ戻る理由を植え、決済がほしければ先に価値を感じてもらい、共有がほしければ自慢したくなる瞬間を作る。事業の言葉で立てた目標をインプットの言葉に訳しておけば、数字が低かったときに崩れるのではなく、どのインプットをもう一度触るかへつながる。

これを個人の心構えだけにせず、組織の様式として固めることもできる。数字を地図として読むチームは報告書の様式から違う。すべての数字の横に「次に触る入力」を書く欄があり、その欄が空の数字は報告書に載せられない。様式がそうなっていれば、数字を鏡として読む余地そのものがなくなる。

この翻訳は次章の測定につながる。出力をインプットへ書き換えておけば、何を測り、何を確認するかが明確になる。リテンションという出力を見て自尊心を傷つける代わりに、その出力へつないだインプットを一つ変え、もう一度測る。変えて、測り、また変える。数字を判決ではなく信号として使うこの反復がどう回るのか。それが次章の仕事だ。

参考コンテンツ

本章の概念が表れている、ほかのメディアや分野の事例。

事業/成長指標フレームワーク

  • Facebookの「10日以内に友達7人」という活性化指標:リテンションという遠い結果の代わりに、その結果をよく予測する近い行動を一つ北極星とし、すべての決定をその数字へ早く到達させる方向へそろえたと伝えられる。最初に価値を味わった瞬間を、入力可能な地点へ絞った事例として語られる。

ビデオゲーム運営

  • 『ディアブロ イモータル』の初日売上と評判の食い違い:発売週末にダウンロード上位と初期売上を同時に得た一方、過度な課金設計によって利用者評価が史上最低水準へ落ちた例としてよく挙げられる。短期売上の数字一つが、信頼という入力をどう削るかを一画面に示す。
  • 2014年モバイル版『ダンジョンキーパー』の最初の体験における決済圧力:開始直後から長い待機タイマーが道を塞ぎ、宝石でのみ早く解除できるように作られていたため、原作デザイナーまで「ブロック一つを壊すのに6日待つ」と批判した。初日売上を絞り取ろうとして最初の体験で信頼を壊した画面の見本だ。

ノンフィクション/意思決定

  • アニー・デューク『How to Decide』の「リザルティング(resulting)」:結果の良し悪しから、決定の質を逆向きに採点する誤りを指す。良い決定でも悪い結果になることがあるため、出力の数字で自分の決定や才能を裁くなという本章と同じことを語る。
  • グッドハートの法則とコブラ効果:ある測定が目標になった瞬間、その測定は良い指標ではなくなる。植民地時代のインドで死んだコブラに報奨金を出すと、人々がコブラを飼育したという逸話のように、出力の数字一つを目標として固定すれば、数字だけが満たされ、本来の意味が空になる危険を警告する。

残りの参考コンテンツは本章末尾の「第24章付録」にまとめた(単行本では付録Dに収録)。


設計ノート ▶ 自分で試す

自分たちのゲームに入れるもの七つと、その対価として取り出したいもの六つを、二つの欄に分けて書く。

入れるもの(インプット):時間/コンテンツ/キャラクター/報酬/マーケティング/サーバー費/運営 取り出したいもの(アウトプット):リテンション/決済/共有/コミュニティ/ブランド想起/IP展開

右側の「取り出したいもの」から一つを選ぶ。そしてその横に、それを起こすには左側から何をどう入れるべきかを一行で書く。「決済を起こそう」ではなく、「有料の価値を感じたあとで提案が来るようにしよう」のように、自分が触れるインプットの言葉へ移す。

最後に一つ、正直に書く。自分たちのゲームの最初の画面は、課金を初日に見せるのか、隠すのか、軽く予告だけするのか。その決定の基準が「今日はどれだけ絞り取れるか」なのか、「この人が価値を感じた場所はどこか」なのかを横に書く。(インプットとアウトプットを組み合わせて埋める精密な空欄表と、事業目標を計器盤・契機と三段にそろえるシートは付録C。)

一行要約:低い数字は才能を否定する判決ではなく、取っ手を調整せよという信号だ。定量に自尊心を傷つけられれば数字をまっすぐ見られず、直す場所も見つけられない。事業目標とは、何を入れ(時間・コンテンツ・キャラクター・報酬・マーケティング・サーバー費・運営)、何を取り出したいか(リテンション・決済・共有・コミュニティ・ブランド想起・IP展開)を書くことである。出力はすべて他人の決定なので、インプットの言葉へ訳して初めて触れられる。定量はどこを、定性はなぜを指す。「初日の課金を最大化せよ」という業界の計算は、一般の人の最も高価な最初の画面で信頼を壊す。決済は終着点ではなく出力に置き、価値を感じたあとで提案が来るようにする。 次章:ここまでは、何を入れ、何を取り出すかを書く仕事だった。だが、書いた目標が本当に動くかは、測るまで分からない。一度測れば終わる仕事でもない。人を直接見てなぜを聞き、数字でどこを確かめ、変えて、もう一度測る。最初の体験は、リリースすれば完成するものではない。測定と反復の話で第5部を締めくくる。

第24章付録:参考コンテンツ集

本文の参考コンテンツ節には本章の論証へ直接つながる中核だけを残し、残りをここにメディア別にまとめた。業務手順と指標フレームワークから始め、ゲーム運営、アプリとコマース、映画とスポーツ、厨房や銀行のようなオフラインを通り、計器盤にどの数字を載せたか自体が事件になった事例で終える。本章が立てた二つの軸、すなわち何を入れ何を取り出すかを別の欄に書くインプット/アウトプット会計と、低い数字を才能の鏡ではなく直す場所を指す地図として読む姿勢を横に置いて読めば、各項目の「見るべき点」がどちらの軸に触れるかが分かる。

現実の業務手順

  • 投入と産出を別の欄に書く会計の基本:費やした費用と出た成果を同じ欄で混ぜない。多く入れれば多く出るのではなく、どこへ入れたかが何が出るかを分ける。見るべき点:自分たちの報告書が「これだけ費やしたのだから、これだけ出るべきだ」という形で努力と結果を一つの欄に混ぜていないかを見る。
  • 先行指標と遅行指標(leading vs lagging):売上のような遅行結果は直接引けず、その前にある先行活動を触らなければ動かない。営業では契約件数を直接増やせなくても、今日の訪問回数は増やせるという、古くから使われてきた区別だ。見るべき点:計器盤の数字ごとに、自分が引ける先行なのか、他人の決定が集まった遅行なのかを表示すると、取っ手のない目標がどこに隠れているかが表れる。
  • エリック・リース『リーン・スタートアップ』が分ける虚栄の指標と実行可能な指標:累積ダウンロード数や総登録者数のように上がるだけで何をすべきか教えない数字(虚栄)と、「Xを変えたらYが動いた」という行動につながる数字(実行可能)を分ける。見るべき点:「売上を上げよう」のような結果の標語を、今日変えられる活動の言葉に書き直させる基準であり、出力をインプットの言葉へ訳せという本章の結論と同じ方向を向く。
  • Spotify Discover Weeklyの定性・定量の組み合わせ:インタビューから、利用者が音楽発見に何を期待するか(なぜ)を得て仮説を立て、その仮説を大規模な定量で検証したとされる。一週間の累積再生より、一曲への深い没入が満足をよく示すという発見が、その組み合わせから生まれたと伝えられる。見るべき点:定性がなぜ(仮説)を出し、定量がどこでどれほど(検証)を出す順序は、本文が述べた二つの目の組み合わせそのものだ。
  • スティーブ・クルーグの少人数ユーザビリティテスト:『Don't Make Me Think』とその後の実務書で、作り手は知りすぎて画面を初見で見られないため、三、四人が実際に使う様子を隣で見れば深刻な問題の大半が分かるとした。見るべき点:数字が示す「ここで漏れる」の横へ「なぜ」を埋める、最も安い定性ツールが何かを見積もらせる。

事業/成長指標フレームワーク

  • AARRR(海賊指標)ファネル:獲得・活性化・リテンション・紹介・収益を段階に分け、売上という結果をその前段の入力へ分解する。投資家デイブ・マクルーアがスタートアップ向けに提案し、広く普及した。見るべき点:売上一欄を五段階に分けた瞬間、どの段階が自分の手にあるインプットかが表れる。
  • GoogleのHEARTフレームワーク:Googleの研究チームが提案した枠組みで、満足・エンゲージメント・採用・リテンション・タスク成功という五つに体験の質を分ける。各項目でまず目標を書き、その目標の信号を探し、その後に初めて指標を選ぶ。見るべき点:指標から選ばず、目標から信号を経て指標へ降りる順序は、出力をインプットの言葉へ訳す本文の作業順序と重なる。

ビデオゲーム運営

  • 『キャンディークラッシュ』の難度スパイク型決済構造:数ステージごとに周囲より急に難しいステージが現れ、行き詰まったところで追加移動やブースターを買って越えるという分析が多い。連れてきた費用の回収を初日に集中させず、進行曲線の各所へゆっくり敷いた決済時点の設計と読める。見るべき点:決済という出力を最初の画面で絞り取らず、価値を感じたあとへ延ばすという本文の検問所の結論が、実際の運営ではどのような曲線になるかを見る。
  • 『ダンジョンキーパー』(2014年モバイル版)の星評価誘導画面:評価ボタンを押したとき、5点ならストアへ送り、1~4点ならストアではなく開発会社へ意見を送る欄へ回したと報じられた。見るべき点:低い点数という信号を直す場所を指す地図として受け取らず、出力の数字を隠そうとした、鏡よりも悪い反対例だ。
  • 『スター・ウォーズ バトルフロントII』(2017)の初期進行設計への反発:ダース・ベイダーのような人気ヒーローを解除するには何十時間も作業するか、決済するようにした最初の体験が激しい反発を招いた。会社が「達成感を与えようとした」と説明すると、その説明がむしろ反発へ油を注いだ出来事として広く知られる。見るべき点:最初の体験における一つの決定が、売上・評判・ブランド想起という複数の出力を一度に削りうることを見る。

ヘルス/自己測定アプリ

  • 目標体重という結果と行動目標:「5キロ減らす」は直接引けない出力なので、食事・運動という入力へ訳して初めて手が動く。見るべき点:出力目標を入力行動へ移す最も日常的な練習であり、自分のゲームの「リテンションを上げよう」を何へ訳すかの見本になる。

一般アプリ/コマース

  • 解約率を直接狙う罠:解約は利用者の決定であり、触れる場所はその決定へ向かう体験の入力である。見るべき点:「解約率を下げよう」という目標の横に、自分が触れる入力が一行書かれているかを見る。
  • Duolingoのリテンションを狙った反復A/Bテスト:初日売上を直接引くのではなく、リテンションという出力をインプットへ分け、数百の実験を同時に動かして、変えて測る仕事を繰り返す。無料体験で価値を先に感じてもらい、出力の数字に崩れる代わりに、どのインプットをもう一度触るかへつなぐ運営の見本だ。見るべき点:数字を地図として読む姿勢が個人の心構えを越え、組織の働き方として固まった姿を見る。

映画

  • 『セッション』の「私のテンポじゃない」場面:教師はドラマーの演奏を速い、遅いと繰り返し裁くが、実際のテイク間のテンポ差は耳で区別しにくいほど小さいという分析もある。見るべき点:低い評価を才能への判決として受け取れば手が固まるという鏡の危険を、評価する側が持つ権力とともに見る。
  • 『マネーボール』の出塁率(OBP):目立つ打率という数字ではなく、過小評価されていたが得点とより強く結びつく出塁率を見た。見るべき点:計器盤にどの数字を載せるかが、何を直し、誰を採るかまで分けるという指標選定の重さを示す。

スポーツ/コーチング

  • バスケットボールコーチ、ジョン・ウッデンの「スコアボードではなくボールを見よ」:制御できない勝敗にこだわらず、制御できる努力に集中すれば得点はついてくると教えた。見るべき点:出力(勝敗)から入力(練習の質)へ目を移すことが、コーチングの言葉ではどう聞こえるかを、本章のインプット/アウトプットの区別と重ねて見る。

オフライン/日常

  • ミシュランの星を返そうとしたシェフ:フランスのシェフ、セバスチャン・ブラスは2017年、三つ星という評価の重みが厨房を圧迫するとして、ガイドから外してほしいと要請した。ガイドは2018年版からその店を外したが、2019年版で二つ星として再掲載し、論争が続いたと報じられた。見るべき点:出力評価が作り手の鏡となって手を固めることが、ゲームの外の厨房でも同じように起きること、そして評価を手放すにも大きな費用がかかることを見る。

指標/データ

  • Netflixの星評価廃止と親指への転換(2017):五つ星評価を親指の上/下に変えた。人々は星評価では教養あるドキュメンタリーに高い点をつけながら、実際には軽いコメディを見るというように、点数が実際の好みより、なりたい自分を映すと確認した。親指に変えると評価への参加が大幅に増えたとも発表した。見るべき点:同じ利用者からでもどの信号を集めるかによって、数字が理想を映す鏡にも、行動を指す地図にもなる。
  • YouTubeの再生回数から視聴時間への転換(2012):推薦の基準をクリック数から視聴時間へ変えると発表した。再生回数が基準のときはクリックさせるタイトルが勝ち、視聴時間が基準になると最後まで見せる動画が勝つ。見るべき点:計器盤に載せた数字一つが作り手たちの行動全体を変えること、『マネーボール』の出塁率と同じ系統の決定であることを見る。
  • Wells Fargoの「顧客一人あたり口座八つ」という目標:米国の銀行Wells Fargoがクロスセル目標を従業員評価に強く結びつけると、圧力に追われた従業員が顧客に無断で数百万もの口座を作った事実が2016年に明るみに出て、巨額の罰金と信頼の失墜につながった。見るべき点:出力の数字を目標として強制すると数字だけが満たされ、本来の意味が空になるグッドハートの法則が、実際の会社でどれほど大きな事故になるかを示す。